アヒルと鴨のコインロッカー感想

伊坂幸太郎さんの作品はデビュー作から順番に読んでいるのでこれで5作目

 

今まで以上につかみどころがなく、2/3程度まできてもまだ現在と二年前の決定的な繋がりがわからなかった。椎名が「君は、彼らの物語に飛び入り参加している」と言われるところでまだ三人の物語終わっていないのか?と気付くけど、それでもまだ釈然としない。それが、あるたった1行でそれまでの全てが融合してひとつになる。ここが本当にすごい。ああでもないこうでもないと疑って読みすすめてもまんまとだまされた!伊坂さんの作品を読んでいておもしろいのはこの瞬間だなあ。

全体的なストーリーは絶望的でなく、かといって気楽なハッピーエンドというわけでもない。それでも確かにこれからの生活への希望が残される終わり方。姉弟がレッサーパンダを盗み出すところや椎名がクロシバらしき犬とすれ違うシーンは救いが感じられて特に好きだった。

伊坂さんの作品は絶対に現実では起こりえないはずなのに、読んでいると現実ってこんなもんだよなあと何回も実感するところが不思議。世の中どうにもできないことだらけでやりきれなくなるけど、ドルジがはじめから終わりまで素敵で筋の通った青年として描かれることで、でもたまにはいいこともあるのかもしれないと思える。

ダックスフントを返品しにきた客が店員になった経緯とか、椎名が書店で会った16歳の少女の今後が気になった。ほかの作品で語られたりしているのかな?

映画版がとても好評らしいので今度みようとおもう。

 

ボブ・ディランはまだ鳴っているんだろうか?」