銀河英雄伝説10巻感想

銀河英雄伝説10巻を読み終えた。3月頃1巻を読み出したので、約半年をかけて読みきった。これくらい長いシリーズを読むのは初めてかもしれない。読み終えてしまうのがとても名残惜しく、余韻があとを引いている。

 

終わり方が見事だとおもった。シリーズの途中から、残されたイゼルローンの人々と帝国側の人間との関係はどうなるのか、善良な専制政治と腐敗した民主政治のどちらを選択すべきなのか、どの登場人物が最後まで生き残るのか・・・など納得できる落としどころはあるのか?収集はつくのか?と読みすすめていたが、本当にうまい終わり方だった。未来に希望が残された結末だったし、なによりミッターマイヤーが生き残って本当に良かった・・・オーベルシュタインの最期はもう少し描いてほしかった。最後の言葉が人間らしくて、やっぱりオーベルシュタインは憎めない。

途中、妊娠しているヒルダとつきそうアンネローゼの部屋にテロリストが侵入してくるシーンがあるが、そこでのアンネローゼの対応はぞくぞくした。さすがラインハルト様も頭が上がらない女性。ケスラーと女の子のエピソードも微笑ましくて良い。

ラインハルト様の病状悪化が伝えられた時のそれぞれの上級大将、元帥たちの反応がそれでこそという感じ。ロイエンタールはラインハルト様に対して複雑すぎる感情を抱いていたし、オーベルシュタインはあくまでゴールデンバウム王朝を打倒する存在としてラインハルト様の下に仕えていたとおもうが、ミッターマイヤーや上級大将たちはその圧倒的な才能だけに惹かれていたのではないとおもう。1人の人間としてたしかに部下たちに尊敬され、愛されているのが実感できて嬉しくなった。

シェーンコップの死に際してのユリアンとカリンのやりとりにおもわず泣いてしまった。アレク大公とフェリックスのシーンは心臓がぎゅっとなる。バトンが次の世代へと受け継がれていくシーンが好きだ。

シリーズ全体を通して何回かでてきた「歴史を逆行させてはならない」という言葉が心に残った。今日本が置かれている状況におそろしいほどにぴったりとはまる言葉だと思う。

 

読んだ本の感想を改めて文章にしようとおもうと難しい。書き残したことがたくさんあるとおもうがこの辺でやめておく。